マレーシア 2日目  ペルヘンティアン島(プルフンティアン島)へ行く

旅行中はたいてい中途覚醒、早朝覚醒、環境の変化から、落ち着いて眠れないもの。
寝足りないけれど、眠る気にもならない。
近所のモスクから、イスラム教のお祈りが聞こえる。

自分の部屋の中で、昨日パン屋で買っておいた、あまり美味しくないパン等を食べ、
8時半頃、宿をチェックアウト。昨日のスタッフに港「ジェッティ」まで車で送ってもらう。港までの無料送迎つき。
その前にコンビニへ寄ってもらい、蚊取り線香を買う。島は物価が上がるので、こっちで買っておいた方が良いのだ。

ジェッティではボートを待つ人達がもう何人も集まっている。
宿のスタッフがエスコートしてくれて、チケットの窓口で、入島料30Rとボート代往復70R払う。
入島料は、シーズンによって値段がかわる。今はスーパーハイシーズンなので、一番人も多く、一番高い。

順番がきて、ボートに乗る。20人乗り位の、屋根がついた簡素なボート。真ん中よりやや前。
できればエンジン側の一番後ろが揺れが少ないが、順番につめていくので仕方がない。
出発すると、すぐに大きく上下に揺れ出した。
ショールをかぶったマレー人らしき女の子達は、きゃーきゃー笑っている。欧米人のマダムは、「オ~ウ」
私は身体を波と反対方向に揺らして、景色を平行に保とうとがんばる。
波に合わせて揺れている私はこれで良いが、私を見る人達は、私を見ることで酔いやすいのだ。ごめん。
30分程で、島に到着。酔い止めも飲んでいたし、大丈夫だった。

この島は、大小2つの島が並んでいて、大きいのはブサール島、小さいのはクチル島。

なぜ私がこの島に来たのかというと、きっかけは、林和代さんの著書 『1日1000円で遊べる南の島』。
はじめて本を読んだのは15年程前で、あこがれて、あたため続けた夢だった。
林さんは素潜りの達人で、東南アジアや南太平洋のマニアックな島々をまわっておられた。
林さんがこの島に行かれたのは、もう20年位前になるのかな?
安くて快適な安宿と、楽しいスタッフ。透明度が高く、ビーチからすぐのところに多様な生き物が生息する海。
林さんの本の中では、インドネシアのギリメノ島とこの島が、特に思いをこめて書かれているように感じた。
せめて夢の中だけでも、素晴らしい海と島へ行けるように、時々枕の下にひいて眠ったものだった。

そして今、憧れの島にようやくたどり着いたのである。

船頭さんは、お客さん達に、泊まるところを聞いていく。
そしてまずブサール島のお客さんから、宿の近くの港に順番に降ろす。
ボートからは、林さんが泊まっていた宿、「アブドゥル」が見える。
私はクチル島のロングビーチに滞在する予定。
本では、クチル島はヒッピー臭く、ブサール島は宿も安くてほどよく店やレストランもあるのでオススメと書かれていた。
だが時は過ぎて、2017年、ブサール島は大人な雰囲気の高めの宿が集まり、クチル島のロングビーチが一番にぎやかで、安宿も多くなっている。
アブドゥルも、今や安宿ではなく、中級~高級位になっている。
ちなみに林さんのお気に入りのギリメノ島は、今ではハネムーナーやカップル向けの島になっているよう。

ロングビーチの北の隅っこにあるジェティで、私と何人かが降りた。
パパ、ママ、大きい息子さんの欧米人ファミリーのママさんが、私がバックパックを背負うのを手伝ってくれた。
水等を買いこんでいるので、とても重くなっている。これから宿探しだし、ちょっと後悔。
まだ朝早いし、きっと良い宿が見つかるだろうと思う。
ロングビーチには、宿がたくさんあり、宿とレストランが長いビーチにそってずらっと並んでいる。しかし、値段のわりには清潔感はあまりないとの噂。島なので、何事も高めとのこと。
まず、事前に調べていた、ロングビーチの真ん中にある、マタハリシャレーという宿を目指す。
このファミリーもそこを目指していて、「一緒ね、うふふ♪」と話していた。
が、マタハリシャレーは満室で、いつ空きが出るかどうかも分からず、すでに6人が待っていた。
ファミリーは予約していたのだろう。受付をすませ、奥へと進んで行った。
なぜ予約しなかったのかというと、英語での電話が苦手だし、ほとんどの安宿はネット予約も出来ないからだ。
ためしにEwan's Placeという宿にメールしてみたが、それも返信はなかった。どこもそんなものだそうだ。
一応、宿の帳簿に、7人目に自分の名前を書いて、荷物を預かってもらい、他の宿もあたってみることにした。
ビーチは朝だというのにとても暑く、汗が滝のように流れる。
汗ビショビショであたったのは、候補にしていたmohsin chalet。ロングビーチの南の端にある。
もしここがだめなら、隣のロックガーデンシャレーをあたろう。もしそれでダメなら、山の中腹にあるEwan'sとか、トロピカーナとか、色々あたるつもり。でもちょっと高めのロックガーデンシャレはあいてるだろう。

マタハリもモーシンも、看板からレセプションまでが遠く感じる。
敷地内を通り、急な階段を上がり、雰囲気の良いレストランにあるレセプションには、大人しそうな青年がいた。
「部屋ありますか?ここに泊まりたいんです。」 青年「何泊?」
お、空室あるのかな。
「じゃあ、3泊」 青年「ファンの部屋なら空いてます。」
ということで、幸いスーパーピークシーズンだけど、2件目で見つけることができた。
ハイシーズンでも金曜日を外せば、わりと大丈夫らしい。
1泊1部屋130R=約3500円
錆さびの部屋のカギをもらって、マイルームへ。
部屋の扉、すごい簡素。鍵かけても、思いっきりドア蹴ったら開きそう。

でも一応ちゃんと鍵も閉まるし、窓も閉まっているし、水も出るので、またすぐに鍵をかけて、マタハリに預けた荷物をとりにいく。
あつい~。日傘持ってきてて良かったと思う。
マタハリのスタッフに、ホテル見つかったよ、と報告すると、どこ?とちょっと心配そうに聞かれ、モーシンシャレーだと伝えると、スタッフの目が一瞬輝いた。
どうやら良い宿のようだ。


モーシンシャレの客室

モーシンシャレは、電気があるのは、夜7時~朝7時頃まで。今は外の明かりがないと真っ暗なので、ドアを閉める前に窓をあけて明かりを入れる。
窓はガラスや格子等もなく、開けっ放しで寝ていようものなら、人や動物に侵入されてしまいそう。
壁はきれいにツルツルに塗ってあり、南京虫も登ってこられない。なので天井から落ちてくる心配はない。
ベッドも一見きれい。ツインなので、もし誰かと一緒なら、一泊1人1750円位なのに。だから一人旅は高くつく。
シャワー、トイレもチェック。・・・おー、汚いバスマット。これじゃ足拭けない。
そしてバスマットの向こうには、500円玉サイズの蜘蛛がいる。
こいつがルームメイトなのか。夜中に頭上から降ってこられてはかなわん。
買ってきた殺虫剤を蜘蛛に噴射。が、なかなか死なない。
大きな蜘蛛は、ゴキブリ用殺虫剤スプレー缶(高さ30cm、直径10cm程)の半分を使い、やっと死んだ。なんという生命力。
一応、家具の隙間等にも殺虫剤をスプレーしておく。
こっちのトイレは、ウォシュレットのシャワーがついているのが一般的。
ここもウォシュレット用にホースがある。ホースの先をきゅっとにぎって、自分で水圧を調整するのだ。
そうそう、ホースホース・・・。あれ?ホースの長さが足らず、おしりまで届かない。なんでこんな長さで切ってあるの?
シャワーはもちろん水シャワー。でも昼間は外が暑いから、自然とお湯になる。
と、悪口ばかり書いているが、島なので、このあたりがスタンダードである。
もっとハイグレードな宿を望む人は、一泊1万円以上する、ブサール島のツナベイリゾートあたりが良いかもしれない。
今後行く人は、安宿は山小屋、中級以上の宿は高級な山小屋だと思って行くのが良さそう。

下着等は、日本から持ってきたビニール紐を物干しロープ代わりに使って部屋干し。
外に干す場合もだけど、洗濯バサミは結構必要。
でも針金が入っていて重いから、軽い洗濯バサミがもっとあれば良いのになぁ。

部屋は暑いし暗いし、扇風機つかないし、喉もかわいたので、冷たい飲み物でもほしいなぁ。
あ、宿のレストラン行こう。良い雰囲気だったし。

部屋から出ると、隣の部屋に新たな客がきていた。
あちらからハローとあいさつしてくれた。
中国から来た男女で、カップルかと思っていたが、きょうだいとのこと。
男「ここって夜暑い?」 私「今朝来たばかりだから、わからない。」 男「暑いのダメ。すごい暑い。」
色白でぽっちゃりした体格で、大量に汗をかいている。南の島が似合わない、寒冷地適応のタイプだ。


部屋の前からの眺め。


部屋を出たところから見た、レストラン

レストランの海側の座敷席に座ると、隣のテーブルに座っている、ドレッドヘアーの青年が手招きした。
ハロー、とそちらへ行ってみると、ここのスタッフだった。
メニューを見せてもらい、アイスティーをオーダー。・・・だが、氷がないらしく、ホットティー(4R)を頼んだ。
ホットティーを一口のむと、なおさらあつい。
そうだった、この時間電気ないんだった。だから冷えてるわけないじゃないか。いいんだ、あったかいものは健康に良いんだ。
でもここはちょっと高台なので、風が通って、じっとしているとだんだん涼しくなってくる。
ドレッドヘアーの青年(以下ドレッドくん)は、働くわけでもなく、ぼんやりしていただけだった。
暇なのか、彼は、どこから来たのか、どの位いるのか、ノリノリで聞いてきた。
ドレッドくんは、10月に関西に遊びに来るらしく、特に大阪の、グリコの看板のところに行きたいのだと熱く語った。
ちなみに私は看板という英語を知らないので、グリコのポーズでやりとりした。
彼はグリコも道頓堀も知らなかったが、なんとなくグリコの看板の所だと理解できた。
その後、スマホを見ながら、「ここはなんという所なのか?」「ドウトンボリ~OK~」とメモをしていた。
ド「おいしくて安い食べ物はあるのか」 私「たくさんあるよ。たこやきとか。お好み焼きとか。」
あと、商店街におもしろいおばちゃん達がいて、あめちゃんくれると思うから、お話すると良いよ、でも「オネエサン」と呼ぶのだよ、と教えておいた。
彼は京都や奈良にはあまり興味はなく、大阪にたいそうあこがれている。確かに、こんな感じの子、昔アメ村あたりで見かけた気がする。似合いそう。
奈良あたりは本当に興味がないらしく、何があるのかも全く知らないとのこと。鹿と大きな仏像がある、と伝え、鹿の絵を描いて見せたり、彼も自分のスマホで検索して見たりしていた。「オー、フレンドリー」と、懐っこい鹿の様子に感動していた。
シーズン中はここで働いて、オフシーズンは少し休暇をとったり、他で働いたりするとのこと。
あとはスタッフが皆で、トッケイというヤモリを囲んでいたので、私達もそこへ参加した。
しっぽが切れているけれど、大人しくてかわいい。「プリティ」と言うと、なんか引かれた。

温かい紅茶も飲み終わり、ランチをオーダーできる時間になったので、ランチにすることにした。
ベジタブルフライドライス、つまり野菜チャーハン(8R=224円)と、水1ℓ(4R)。

チャーハンを食べ終わり、海を眺めながらぼんやりしていると、隣に座っている欧米人男性に話しかけられた。
しゅっとした濃い顔つきで、スマートで、鼻が高くて、ナイスミドルである。
「どこからきたの?」 私「ジャパン」 「ナイス!」 私「どこからきたの?」 「スイーディン」 私「あ~(実はあんまり聞き取れてない)」
名前は「サッ」みたいな感じだったけど、色々話しているうちに忘れてしまった。
彼は娘さんと来てたけど、娘さんが途中で帰って、今は一人旅中だそう。今日島についたばかりで、ダイビングしにきたけど、風邪をひいて鼻がつまっているから無理で、しんどいから、こうして読書をしながら休憩しているのだそう。
私「で、国はどこだっけ?」  「スイーディン」 私「ん?」 「スイ~ディン」 私「スイーディン?」 「イエス」
私「!! スウェーデン!」 「スイーディン・・・」
スウェーデンで合っていると思うが、本来の発音はスイーディンなのね。
というわけで、以降、彼のことはスウェーデンさんと心の中で呼ぶことにする。
スウェーデンさんは、日本にも旅行に来た事があり、なぜか日本のトイレの便器の写真を何枚もスマホに入れていた。
明日は何をするのかという話になり、シュノーケリングのツアーへ参加したいと話すと、この宿で申し込みできると教えてくれた。
スウェーデンさんも一緒に、いくつかのポイントを、朝の10時から夕方までまわるツアー(50R)に申し込んだ。

その後、スウェーデンさんは、ドミトリーでひと眠りすると言って、帰って行ったので、私はその場で読書と昼寝。
だが、午後2時を過ぎ、ぐんぐん気温が上がり、クラクラしてきたので、私も部屋に戻ることにした。
私の部屋に行くには、必然的に隣の部屋の前を通ることになる。隣の中国人は、窓を全開にして、大の字で昼寝中だった。
私も、まあ見られてもいいかと窓をあけて、ベッドに寝転んだ。暑いのは暑いけど、風も入るので、いられない程ではない。

ちょっと休んで、気力も回復し、海へ行水でもしに行こうかと、ガバっと起き上がり、水着に着替えた。
クラゲや日焼けが嫌なので、水着のトレンカと長袖ラッシュガードも装備。
ビキニでウロウロしている欧米人が多い中、この装備は浮く。

ちゃぽーん。
おお、久々に首まで海入った。10数年前のタイのピピ島以来だ。忘れていたけど、流れもある。
私はちぎれたワカメのように、波間で漂いながら、行水を続ける。
すると、2人組のアジア人らしき男性2人組が、一緒に向こうへ行くかと声をかけてきた。
誰やねん、そんな、いきなりヒョイヒョイついて行ったら危ないじゃないかと思い、「ううん、いいや」と断った。
あと、ロックガーデンのドミトリーに泊まっているという男性もあらわれたが、それだけのことである。

やはり水につかるとだいぶ涼しい。冷房もない暑い島では、海に入って体を冷やし、陸に上がって、暑くなればまた海に入るのが正しい過ごし方だと思う。

もう夕方。部屋に戻ってシャワーを浴びて、水着を干す。明日は念願のシュノーケリングだ。
宿のレストランをすっかり気に入ったので、夕食もそこで食べることにする。
レストランへ行くとスタッフが、「ジェティのあたりに魚がいるよ。今日あなたがいたところは、何もなかったでしょ。」と教えてくれた。
あの時の行水を見られていた。なんだか少し恥ずかしい。
夕飯には、ココナッツクリームという、野菜がたくさん入ったココナッツスープを頼んだ。ちょっと量が多かった。(8R=224円)
レストランには涼しい風が吹き、ヤモリが「トッケイ♪」とおもちゃのような声でなく。
ドレッドくんは、ニルヴァーナやカーディガンズを、大音量で流す。選曲の趣味は私とも合う。
夜の10時か11時か、いつ始まるかは分からないけど、ファイヤーショーがロングビーチで行われるとのこと。
今日は疲れたから、見ずに寝ると言うと、驚かれた。
確かにロングビーチは、ファイヤーショーのために滞在するところなのかもしれない。

部屋に戻ると、電気がついた。ワーイ。これでスマホも充電できる。
しかし、コンセントが壊れていて一つしかないので、充電するか扇風機をつけるか、どちらかしか出来ない。
まあ夜なので、涼しいので、扇風機はなくても大丈夫。


ほこりのたまった扇風機。昼間、きれいにしようと埃をぬぐうと、真ん中に寄って更に汚くなった。


たった1つのコンセント。右側は壊れて使えない。 


汚いバスマット。奥がシャワーとトイレ。ウォシュレットのホースが短すぎる。


シーツをめくると黒ずんだベッドマット

南京虫、多分いないと思うけれど、あらかじめゴミ袋を切ってビニールテープでつなぎあわせて作った、ダニ、南京虫避けシーツをひいて、その上にブランケットをひいて眠る。
シャカシャカ音がうるさく、とても寝心地が悪い。

今夜は大雨で、ファイヤーショーは深夜になっても始まらず、自家発電のモーターのガーーーという音と、雨の音だけがする。
少し停電もあるので、やはり懐中電灯を持ってきて良かった。

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